覆面時事座談会 2010.11

食と農現場からの視覚

生産者、消費者、研究者、栄養士が、現在の食と農を「鳥の目」「虫の目」となって、俯瞰と仰視で語り合ってみました。

■お米の品質ってなに?

消費者 今年は、記録的な猛暑でしたが、今年の米の作柄への影響はあったのですか。
生産者 京都で言えば京北は一等米でした。山間地の谷間のように、夜温が下がるところは良かったのですが、平地の日当たりのよい、普通だったら一等田のところで、米が乳白になる高温障害が出た。(写真1)格付けの悪さの主たる要因は乳白です。

通常のお米と22年産米

消費者 乳白で格付けが悪くなるのはなぜなのですか。
生産者 普通だったら蛋白が詰まってガラス質になって透明な米になるんです。ところが夜温が高いと、稲が自分の体力維持のために消耗して、蛋白を詰めきる体力がなくなる。
栄養士E 栄養的に言ったら、お米は6%ぐらいがたんぱく質、アミノ酸だけれど、それが少ないわけ。自己処理するの?
生産者 そうそう。よう詰め切らない。だから乳白が出てくる。
研究者 低蛋白の方が食味は良いのですか?
栄養士E あんまりたんぱく質が多かったら、食味は悪いのと違うかな。
研究者 だったら未熟米の方がおいしいということになっちゃうね。
栄養士E 確かそうだと思う。
消費者 お米に一等、ニ等という格付けがあるのですか?何等まであるのですか?
生産者 ありますよ。一等、二等、三等、等外まであります。
消費者 お米の袋に一等とか、二等とか、書いてあるのですか?
栄養士E でも、消費者が買う袋には書いていないでしょう?
生産者 書いていないです。
研究者 あくまでもそれは出荷の段階で生産者が受ける検査の時に分かる事ですね。 
栄養士E それは、生産者が売る場合の価格のもとになるようなものなの?
研究者 農水省は、「良いお米を作るように、生産者の意欲を引き立てるために検査制度はあるのだ」と言ってましたよ。
生産者 食味ではないですからね。艶がどうだとか、粒が大きいとか、実が入っているかとか…
栄養士E いわゆる見た目の等級なんだ。
生産者 そうですね、主として。一粒のお米にちゃんと実が詰まっているかどうか。その整粒具合が70%超えないと一等ではない。
消費者 味は変わらないのですか?
生産者 味覚とは全然関係ないです。
栄養士E テレビで「すごく品質が悪い」と報道されていたけど、消費者にとっては、「品質が悪い=味が悪い」と思ってしまうので、ああいう表現は良くないと思いますね。
消費者 「新米よりちゃんと保管された古米の方がおいしい」と聞いたんですが、それはそうなのですか?
生産者 それはありえますね。年によって、天候によって、米の味に差が出てくるんじゃないですかね。
消費者 だけど、「古米を買いたい」と思ったって売ってないでしょう?
研究者 まあそうやね。
生産者 「古米ください」って買いに行く人いないからね。古米は大体米屋さんがブレンドします。
消費者 その分価格が下がる?
生産者 いやそれはわかりません。ブレンドした人がどういう値段で売るか、どういう原料で、どういう価格で売るかはわからないです。「この食味だったら高くしても売れるかな」と思って値段をつけるかもしれないし。それはわからないです。
栄養士E お寿司屋さん専用のお米屋さんには、「新米だと水分が多いので、わざと古米を混ぜて売っています」というところもある。でも、一般的に消費者が買う場合は「新米の方が良い」という固定観念があるじゃないですか。だから「新米100%を買おう」と思って買ってしまう。
研究者 昔から寿司米は「日本晴」の古米を使っています。わざわざ古米を使っています。
生産者 新米の時は、香りとか、艶があって、ごはんを炊いた時に光っている。それが消費者にとっては良いんでしょうね。
研究者 香りが大きいんじゃないかな。
栄養士E 「新米がピカッとしておいしい」というのは、香りなのかな。
生産者 ピカッと光っているのは感動するね。

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