2014.4

不透明感増すTPP交渉の行方を読む


2.さらにその後の動き

 2014年01月下旬、ワシントンで事務レベルの日米協議。日本からは大江博首席交渉官代理が出席した。(アメリカからはカトラー次席代表代行)
02月10日
 米倉経団連会長、三村日本商工会議所会頭、長谷川経済同友会代表幹事、10日に安倍首相と会談して、TPPの早期妥結を求める提言を提出
02月15日
 甘利利明TPP担当相、15日に米国でフロマン代表と会談。会談は日本が申し入れたもの。フロマン氏の会談要請に慎重だった甘利氏が応じた、という真逆の報道もある。米国がかたくなな態度を改めるならば、日本ももっと農産品の市場を開ける準備がある、というのが日本側の意向とされている。外務省は、「フロマン氏が日本車の関税撤廃時期を示せば、農産品5項目の一部で関税をなくす代案を出す」と明かしている。内閣官房は、「95%からの上積み余地はそれほど大きくなく、米国を説得できる水準まで達するかわからない」としている。真相は不明だが、両者について言えることは、問題の矮小化もはなはだしいということである。
・16日のワシントンでのインタビューの際の一問一答
―米と牛肉・豚肉、乳製品で米国の主張に温度差があるのか
「そうだ。牛肉・豚肉などはかなり強く関税撤廃を求めてきている。そこが攻防戦だ。5項目の関税(586)品目を全部守れなんていうのは無理だ。日米協議はいま5〜6合目だ」 
・今春にも妥結を見込むTPPをめぐり、オバマ米政権が妥結後の台湾加盟に向けて、台湾当局との調整を加速している。日本、韓国に続いて台湾を取り込み、通商ルールづくりで中国包囲網を狭める狙いだ。 日経14年02月17日報道
 一方台湾には、アジア・太平洋地域の多国間貿易協定に乗り遅れていることへの危機感がある。
02月17日
 甘利明TPP担当相、記者会見で「586品目を一品残らず守るのはむずかしいと、多くの人が認識しているだろう」と言い切る。
 2012年の日本への輸出額の上位10位以内には、豚肉(1642億円)、小麦(910億円)、牛肉(670億円)の3品目が入っている、このうち小麦は国内消費量の約9割を政府が関税ゼロで輸入しているのでこれ以上増やすことはむずかしい。だから豚肉と、牛肉がターゲットとされる。

 18日―20日、 東京都内で日米実務者会議を開催。米国が日本の牛肉の輸入関税を数%まで下げるように求めてきていることが明らかになった(現状は38.5%)。これに対して日本は20%台が下限だと主張。日本はオーストラリアとのEPA交渉では関税を30%に下げる案を提示している。22日〜25日の閣僚会議中も協議が続くとの見通し。
 初日(18日)はぜんぜん進まなかった、19日に米側は「よりかたくなになった」。TPP交渉をめぐる日米の実務者協議は20日、3日間の日程を終えた。日本はこれまでの協議より一歩踏み込み、農産品の重要5項目の一部について関税を引き下げたり撤廃したりする姿勢を示した。これに対して米国は、牛肉の関税についても「関税を残すなら1%未満だ」などと主張して、全品目の関税撤廃を求める従来の姿勢とあまり変わっていなかったという。

02月18日
 米国と欧州(EU)のFTA交渉で初の閣僚会議を18日まで米ワシントンで開催していたが、農産品の輸入規制緩和などでの鋭い対立区を解消する手がかりは得られなかった。米欧埋まらぬ溝、年内合意困難。
02月19日
 石破自民党幹事長、関税維持の聖域としてきた米、豚肉、牛肉など重要5項目586品目について、一定の譲歩もありうると表明、公約などとの整合性もとれると主張。 
・米、カナダ、メキシコの北米3カ国は19日、メキシコ市郊外とルーカで北米首脳会議を開き、TPP交渉の早期妥結へ連携する方針で一致した。先行する枠組み(NAFTA)を通じて、日本を含めたアジアの交渉参加国に対して関税撤廃の圧力を強める狙いがある。オバマ大統領は首脳会議の記者会見で、「自由貿易の伝統を持たない交渉国に対して、われわれが自由貿易の擁護者として結束することが大事だ。すでにわれわれの市場は開かれており、有利な立場にあるからだ」と強調した。
02月20日
 韓国政府、TPP交渉に向けて3月上旬にも日本と二国間協議をすることが19日に判明。韓国は交渉参加12カ国のうち米国など7カ国とFTAを締結済みで、経済会では「TPPは事実上日本とのFTA」と受け止められている。
・「TPP交渉における国益を守り抜く会」の森山裕会長は、聖域の5項目について、輸入実績がない一部の品目の譲歩は容認できるとの考えを示した。重要5項目は細分化すると586品目ある。森山氏はこのうち234品目は日本がこれまで輸入したことのないと指摘して、「重要5項目は586品目とイコールではない」との認識を示した。
・安倍首相は21日、「TPPは成長戦略の柱。国益を実現すべく全力で交渉にあたっていただきたい」と担当の甘利明経済財政・再生相に指示した。
02月22日
 22日、韓豪FTA実質合意との報道。韓国は牛肉をはじめとする農産物の全品目の88%の関税を撤廃、オーストラリアは自動車の関税を撤廃する。2月10日に仮署名し、今年上半期に正式署名、早ければ2015年発効の見通し。 

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