2013.7

TPP参加で日本の食料農業はどうなる


2.TPP協定交渉参加表明が意味するもの

 2月22日の日米共同声明から22日後の3月15日に安倍首相は早々とTPP交渉参加を正式に表明しました。その要点として、@太平洋地域での貿易ルールづくりを主導する、Aその先にある東アジア包括的経済連携(RCEP)、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)に向けてのルールづくりのたたき台になる、Bこの機会を逃せば日本は世界のルールづくりから取り残される、CTPP交渉参加で経済全体にプラス効果が得られる、D重点品目への特別配慮を勝ち取り悪影響を最小限にとどめるべくあらゆる努力を尽くす、E農業政策により農林水産業の競争力を高め輸出拡大を進め農業を成長産業にする、F国民に対して状況の進展に応じて丁寧に情報提供する、等々の点があげられます。
 まず第一の点に関していえば、安倍首相自身が参加表明で認めているように、「すでに合意されたルールがあれば、遅れて参加した日本がそれをひっくり返すことがむずかしいことは厳然たる事実である」なのです。つまり、新規参入国には対等な交渉権が保障されていないのです。だから2012年に新たに交渉に参加したカナダ、メキシコには@現行の交渉参加9カ国がすでに合意した条文は全て受け入れる、A将来ある交渉分野について現行の9カ国が合意した場合、拒否権を有さず、その合意に従う、B交渉を打ち切る権利は9カ国にあって、遅れて交渉入りした国には認められない、という3つのきわめて不利な条件を呑まされて参加が認められたとされています。したがって貿易ルールづくりを主導するというようなことは夢のまた夢ということになります。
 第二、第三の点については、TPPのような不平等な、強圧的なきわめて特殊な例外的な経済協定を広く推し進めていくこと自体が大問題ということですし、すでにわが国はFTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)等の数多くの互恵の経済連携を進めています。提携済みが19カ国(ASEANとの重複を除く)、交渉段階にあるものが5カ国に及んでいます。逆にいえば、TPPで新たに提携国になるのはアメリカとニュージーランドの2カ国に過ぎないのです。アジアに関していえば、TPPに加盟しているのはわずかにシンガポール、ブルネイ、マレーシア、ベトナムの4カ国にすぎませんが、さらにいえばこの4カ国とはすでにいずれもEPA・FTAで提携している国なのです。
 第五、第六の点については、特別配慮をたとえ勝ち取ることができたとしても、せいぜい5〜10年間の猶予を得るにすぎません。また農業を成長産業にするといっても、想定されている手法は規模拡大と企業参入の自由化ということですし、輸出拡大とはいうものの、国産農産物を輸出して、国民は輸入農産物を食べなさいということになるわけで、消費者の望むところとは大きく離反することになってしまいます。
 第七の点については、国民に対して丁寧に情報提供するというのですが、TPP協定文は「最終的に関係国で合意されるまでは開示されないルールになっている」わけですし、交渉過程の内容は「協定発行後4年間秘密扱い」ということになっているわけですから、「丁寧な情報提供」は空手形にならざるを得ないのです。2) これではまるで、「目隠し状態で“丸呑み”でサイン」ということになるわけで、情報隔離という点においてもTPPはきわめて異例の、異常の協定というほかはないのです。さて、先に示された7つの要点のうちやはり最大の関心事は第四のTPP協定の経済効果でしょう。この点については次項で取り上げてやや詳しく検討を加えておきたいと思います。

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