食や生活、暮らしにとても関係しているのに、
「よく知らない」「知りたいけど難しそうで気持ちが向かない」、
そんな「知っとこ 大事!」を取り上げます。


 食や自然はちょっと関心あるんだけど講演会に行くほどの熱意はない、知っておきたい気持ちはあるけど池上彰さん解説でもないと理解不能、そんな私が選んだ今回の「知っとこ 大事!」は「種子法廃止」です。

 「種子法廃止」と聞いた時には「農家以外関係ないでしょ?」「そもそも種子法が何かすら知らん」という状態の私でしたが、いろんな人の話から「これは相当ヤバイ」ことを認識。より多くの人が関心をよせてもらえるよう「知っとこ 大事!」で取り上げることにしました。


種子法って なに? わたしたちに 関係あるの?

 みなさんが今食べているお米の銘柄は何ですか?
 我が家はキヌヒカリです。日本でいちばん食べられているお米の銘柄は、その名を誰もが知っている「コシヒカリ」。ほとんどの都道府県で栽培されています。日本のお米の3割がコシヒカリという、日本人にもっとも人気のあるお米です。
 コシヒカリに次いで食べられているのが「ひとめぼれ」「ヒノヒカリ」「あきたこまち」「ななつぼし」など…。我が家の「キヌヒカリ」は第7位に入ってました。

*小池先生の「もっと 掘り下げてみよう!」*

2018年産米の品種別作付け割合の上位10品種
品種名\各指標 作付割合 前年比 生産実績道府県数 育成試験場
01コシヒカリ 35.0% △0.6 44 福井
02ひとめぼれ 9.2 △0.2 34 宮城(古川)
03ヒノヒカリ 8.6 △0.3 26 宮崎
04あきたこまち 6.8 △0.2 31 秋田
05ななつぼし 3.4 △0.1 1 北海道
06はえぬき 2.8 0 8 山形
07キヌヒカリ 2.2 △0.2 26 北陸
08まっしぐら 2.0 0.1 1 青森
09あさひの夢 1.6 △0.1 3 愛知
10ゆめぴりか 1.5 △0.1 1 北海道
上位10品種合計 73.0 △1.7
資料:日本農業新聞2019年04月30日

〇 これらのお米はどうやって生まれたのでしょう?




 明治時代以降、国が農作物の普及と開発をめざして各都道府県に「農業試験場」を置き、税金を投入して農業技術の向上のための研究を進めてきました。
 農業試験所はいわば国や都道府県の農業の研究機関です。試験場は、農作物の新しい品種を開発したり、その品質が落ちないような技術を研究し、開発したすばらしい「コシヒカリ」などの品種を多くの農家に広げてきました。
 寒い北海道でも作れるお米、環境に配慮したお米、など、その土地に合わせたお米を開発し、さまざまな品種を作り出してきたのが農業試験場。つまり、今私たちが食べているお米はそのほとんどが「農業試験場」から生まれたものです。
 大豆も麦も今や90%以上が輸入になっていますが、残っている10%足らずの大豆や麦は農業試験場が作った品種です。農業試験場は種の開発だけでなく、開発した種を農家に栽培指導もしています。
 つまり農業試験場が数々の「お米のブランド」を作り、そのブランドを守ってきたのです。そんな「農業試験場」が、種子法廃止によって今までのように品種の開発や研究ができなくなるおそれがあるのです。


〇 そもそも「種子法」ってなに?

 種子法とは、日本が戦後の食糧難の時に、「国民の主食である「米・麦・大豆」をみんなが食べられるように、国がお金を出してしっかり管理していこう」というもの。日本でいちばんたくさんの農家が作っているものであり、いちばんたくさん採れる穀物についての法律です。
 正式名は「主要農作物種子法」。全8条のきわめてシンプルな法律です。


*小池先生の「もっと 掘り下げてみよう!」*

○主要な農産物の種子について、国が予算措置して国が責任をもって各都道府県に原種、原原種などの増殖、管理、厳格な審査などを義務付けて、農家に安定して安価な種子を提供している公共のサービス
 日本政府がTPP協定を批准してその内容を履行するとなれば、種子についても国の予算措置を廃止して公共のサービスとして役割を終えて、すべて民間企業に任せることになる。



〇「種子法」があったことで どんな良いことがあったの?

 良い種を開発するのには10~20年かかるといわれています。「コシヒカリ」などをはじめ、私たちの食べている主食の材料である米・麦・大豆のほとんどの品種は、企業が利潤を追求するのと違い、国民の安全と農業の普及を目的としていますから、そのような守られた中でこそ開発ができたのです。
「主食である穀物の種を守り、その種を広げる」という種子法があったから税金が投入され、試験場は苦労しながら研究して地域にあった穀物を作ることができたわけです。


*小池先生の「もっと 掘り下げてみよう!」*

種子法が果たしてきた役割
1.米、麦、大豆の伝統的な日本の在来種を、種子法によって国が管理し、各都道府県に原種・原原種の維持、優良品種の選定、奨励、審査制度として義務付けてきた。
2.米の種子は各地の農業試験場で雑種の混入、不良な種を取り除いて、苗場農家を選抜して増殖させ、厳格に審査した優良な品種を公共品種としてコシヒカリなどの品種を1kg当たり500円などと安く安定して供給してきた。
3.その地域にあった多様な品種(米だけで300品種)を提供してきた。ところが農業競争力強化支援法第8条3項では銘柄を集約して、大手企業のために数種に絞る方向が目指されるところとなった。  →規制強化の典型
 
第8条3項 
 三 農業資材であってその銘柄が著しく多数であるため銘柄ごとのその生産の規模が小さくその生産を行う事業者の生産性が低いものについて、地方公共団体又は農業者団体が行う当該農業資材の銘柄の数の増加と関連する基準の見直しその他の当該農業資材の銘柄の集約の取組を促進すること。


〇 なぜ 種子法を廃止したの?

 「国が税金を投入して種を守っていたら、民間の企業が開発する邪魔になってしまう。企業もこの種を自由に取り扱えるようにして種子を改良してもらいたい」というのが目的と言われています。
 でも実際には、「ブランドのように自分たちだけで守らず、もっと取引市場をオープンにせよ」「だれでも作れて誰でも売れるようにしろ」というTPPの流れを見越しているのではないか、何より各都道府県に渡す税金を減らしたい、だから農業試験場への税金投入をカットしたいという気持ちが大きいともいわれています。


〇 民間が開発してもいいんじゃない?

 種子法が存在していた時も民間のお米の開発はありました。つまり廃止しなくても民間開発はできたのです。
 「ミルキークイーン」というお米は、農林水産省の音頭の元に、大学、民間企業、公立の研究所などが協力してお米の可能性をさらに拡大しようという計画(スーパーライス計画)の中で誕生したコシヒカリの突然変異育種で、現在も多くの都道府県で売られています。
 ミルキークイーンは、ある意味 国の声のもとに作られているので安くで買えますが、完全に民間が開発するとなると相当な時間と費用がかかるので、その費用をどう回収するのか・・・?
 たとえば三井化学が開発した「みつひかり」、住友化学の「つくばSD」、日本モンサント「とねのめぐみ」は、一般の4〜10倍の価格で販売されています。

*小池先生の「もっと 掘り下げてみよう!」*

◆すでに民間による稲の新しい品種は開発され、生産者に提供されている
みつひかり(三井化学アグロ)、つくばSD(住友アグロソリューションズ)、とねのめぐみ(日本モンサント)、しきゆたか(トヨタ通商)等々のF1種、化学肥料、農薬とセット販売、米の販売も拘束される。 これって、独禁法違反じゃないの!?
※1986年の種子法の改正によってすでに民間の種子産業への参入が認められてきた


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