新規就農をめざす方のためのQ&A

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■Q4:資金はいくら用意すればいいですか?

A:ケースによってかなり事情が違い「いくら位」と言いにくいですが、過去に「こちらへ来るなら最低600万円は用意してください」と言っていた自治体があるようです。一人前に作れるようになるまでに少なくとも数年かかるとすれば、その間の生活費、農業生産のための資材などの費用が相当かかるとみなければなりません。もっとも、農業法人等に採用されて働く場合は、準備金無しでも始められるケースもあるでしょう。ただ、一般にそれほど利益の上がる業界ではないので賃金水準が低い場合が多く、賃金の中からコツコツと貯めると言っても容易ではありません。

■Q5:新規就農は、本音として「勧める職業」ですか?

A:「自分の子供が、農業を目指したいと言ったらどうしますか?」というのとほぼ同じと考えると、そう簡単には言えません。次の設問とも関連しますが、就農チャレンジャーに求められる人間像にそこそこ接近できそうだという見通しがあり、具体的で有望な就農地と新規就農者を育てる環境が見込めるなら、勇気を出して勧めたいと思います。

■Q6:どんな人なら転職して農業をやっていけると思いますか?

A:「どんな人間像を目指すべきか」と言い換えてもよいと思います。私の描く「新規就農者が目指すべき人間像」は次のようなものです。

@ 農業が大好きで、困難があってもやり抜く強い意志のある人
 農業ではなかなかメシが食えないところから「後継者難と高齢化が進行している」現実を考えれば、当然のことです。

A 科学の目を持った生産部長になれる人
 「お米を10年作った」と言っても「たった10回」です。しかも、気温その他の多種多様な条件があり、しかも多くの条件が毎年変化する、「去年うまくいった」方法で今年もうまくいくとは限りません。基本になる知識と技術に加えて、「なぜそうだったのか」を常に観察・分析し今後に活かすことが出来なければ、安定した生産は望めません。基礎になる知識・技術に加えて、「科学の目を持った」生産部長の顔が必要です。

B 生産物を確実に売りさばく販売部長・営業部長になれる人
 商品を作る前に、どんな消費者層にどんな品をどのように供給するか、そのための市場調査をし検討することは、物づくりの基本です。農業も考え方としては例外ではありません。従来、「生産部長はいるけど販売部長・営業部長がいない」経営が少なからずありました。

C 経営全体をうまく切り回す経営者になれる人
 要所要所で適切な経営判断が出来ること。また、これからの農業経営者が、「複式簿記の見方が分からない」ようでは困ります。

D 体力があり健康の自己管理の出来る人
 あくまでも一般論ですが、暑い夏も寒い冬にも耐えて働かなくてはなりません。農業は体力勝負の面が少なからずありますので、体力があり健康について自己管理が出来る人でなければなりません。

E 対人関係を前向きに展開できる決意と能力のある人。
 うまく作る技術や知識は、一般企業では「企業秘密」です。これを教えてもらうには、先輩農家に「是非一人前の農家になって欲しい、私が育てたい」と思ってもらうことが大前提です。信頼でき指導してくれる農家、「お師匠さん」が見つけられるかどうかは、決定的に重要です。このような農家にめぐり会うことが出来れば、単に技術の習得に止まらず、集落での対人関係や農地、空き家の確保等でも適切なアドバイスが期待できます。また、農業法人に正社員で採用されれば、多くの場合パートさんや後輩を指導しまとめていかなくてはなりません。ここでも、人と人の信頼関係が条件になります。
 地域との関連では、農業用水路や農道等の維持管理のための共同出役作業への参加、集落の伝統行事への協力等も非常に大切な事です。

<参考情報MEMO>・・・Iターン青年2人の言葉
* Iターンとは・・・人口還流現象のひとつ。出身地とは別の地方に移り住む、特に都市部から田舎に移り住むことを指す。

その1・・・「僕知ってる」は禁句
 プライドの高い人はダメ。農家は色々なことを間違ったことも含めて一杯教えてくれる。しかし「僕知ってる」と言ったとたんに皆引いてしまい誰も何も教えてくれなくなる。教えてくれたことを有り難く聞いて自分で消化し、自分がいいものを作れるようになったら自然と自分の言うことも聞いてもらえるようになる。
    注:「僕知ってる」はどんな時でもダメ、という意味ではありません。
    ポイントは、お互いに「心を開いて話が出来る関係をどんな時でも
    閉ざさないで、維持・発展させることが大切」ということでしょう。(筆者)


その2・・・大切な挨拶
 研修中から近所の人には欠かさず挨拶を心がけた。しばらくは無視されたが、辛抱強く続ける内に互いに挨拶し色んなことを教えてもらえるようにもなった。

*ここまで書くと、「そんな完璧な人はいないよ」という声が聞こえてきそうです。でも、「今は不十分でもこれを目指す」ことが大切だということです。また、一人では無理でも、家族の中で得意な分野をカバーし合うケースもあるでしょう。もっとも、農業を生業と考えず、年金など安定した収入が別途あって、「趣味または趣味+α」でいい、という方なら話は別です。


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