パン食は、肉・乳とセットで成り立っています。
◎一日2kgのパンは食べられない。
 パンを食べる地域の食生活は、牧畜とセットになっていて、パンと乳製品と肉が組み合わされて日常の献立となっています。
 成人がコムギのパンだけで必要な蛋白質をとろうとすると、一日に2kg以上を食べなくてはならなりません。わたしたちの胃袋にはとうていおさまらない量です。
 だから、パンを食べる地帯では、乳製品や肉から蛋白質をとる食生活になり、「主食」という考え方は発達しなかったのです。
お米なら一日700gで何とか生きていける。
 昔、武士のサラリーは「一人扶持」という単位で計られていました。「一人扶持」は、一人に一日米五合を配給します。
 一日に米五合(700g強)というのは、それにちょっとしたおかず、味噌汁とか豆腐のようなものがあれば何とか人体を維持できる量なのです。
 米は作りやすく収穫が安定しています。しかも栄養バランスがよくておいしい。そんな米があるからこそ、私たちは「主食」を持てたのです。
歴史上、米からコムギに転換した民族は存在しない。

 「コメがコムギよりうまいということはコムギの中心地帯でも今ではわかっている。(中略)人間の歴史をみて、コメからコムギに転換した民族は存在しないのに、コムギ食民族はどんどん米食をとり入れてゆく現状である(『栽培植物と農耕の起源』中尾佐助著 岩波書店)

【参考文献】
「講座食の文化第一巻人類の食文化」監修:石毛直道 責任編集:吉田集而 社団法人農山漁村文化協会 /「食の文化地理 舌のフィールドワーク」石毛直道著(朝日選書)/「中国食文化事典」中山時子:監修 角川書店「栽培植物と農耕の起源」中尾佐助著 岩波書店
「主食と副食の交互食べ」が日本の食事作法
日本の伝統食を考える会会長 宮本 智恵子さん
 日本人の食べ方は、良好な栄養バランスを保つ食事法です。
 真ん中にいつもご飯が主食としてありますので、ご飯一口、おかず一口。この食べ方が栄養バランスを取る食べ方につながって健康上非常によかった。今の栄養学で、主食は5割から6割、毎日入っていくと栄養
バランスが良いと言います。一口一口の「交互食べ」をやっていたら、知らぬ間にそういう作法が健康に導いたと思うのです。
 今の子どもは好きなおかずだけ食べて、後ご飯は残してふりかけでちょっと食べる。これは日本の本当の食べ方にそぐわないですね。
 主食のご飯に、主菜と副菜を組み合わせた食べ方を「一汁二菜」といい、欧米からヘルシーと注目される日本型の食事です(※)。
 この食べ方を基本にしましょう。

(※)1987年、アメリカの生活習慣病対策のため、国際的調査を行った「マクガバンレポート」は、「アメリカの食生活でアメリカ人の危機がすすんでいる。学ばなければならないのは日本型食生活だ」と報告しています。

主食:
ご飯を主食に、副菜の種類が多いほど、栄養のバランスがよくなる。
主菜:
赤の食品群(肉、魚、卵、豆腐のメニュー)
副菜:
緑の食品群(野菜、芋類、海藻、きのこなどのメニュー)
汁物:
具たくさんの味噌汁は、塩分も少なく、栄養のバランスも改善。
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