ドキュメント
お茶碗一杯のご飯と赤とんぼ

 9月1日から4日にかけ、東南・東アジア地域で農業に関わるビアカンペシーナ青年代表と農民連青年部、そして山形県南陽市が3つの国際会議を開催しました。震災と原発事故後に日本で開催される農業青年の国際会議としては、最大で初めてのものにあたります。4日間にわたる日程のなか、討論と会議を行ったほか、視察として福島第一原発から11kmほどの場所や荒廃した農地をまわりました。またフィールドワークとして環境と農地を評価する「田んぼの生きもの調査in南陽」がおこなわれました。
 いま東南アジア諸国では、「多国籍企業と国が開発」という名目で農民から土地を剥奪し、それによる農村の崩壊がはじまっています。海外代表は農民の権利を守り、地域に根差した農業を進めていくための活動をしていますが、彼らの目には震災地はどのように映ったのでしょうか。経済性ばかりを推し進めた我が国の原発は、たった一度の事故で劇的に農村を変貌させました。農村と環境、文化は綿密な関係にあります。そのひとつがかけるだけで成り立ち得ないものです。
 「田んぼの生きもの調査」によれば、稲3株ほどの環境で赤とんぼ一匹が生まれるとされています。これはちょうどお茶碗一杯のごはん。ここから計算すれば、日本人一人ひとりが一年間に食べるご飯で生まれる生きものは、赤とんぼ275匹、アマガエル12匹、メダカ10匹に相当します。また絶滅危惧種の3分の1は田畑で生まれた生きものに当たります。この数値はアジア型農業の懐の深さを物語るものでしょう。
 赤とんぼが飛び交う風景をみて、日本人の多くは心の原風景と感じ、地域の五穀豊穣を祈り喜ぶ祭りに価値を見いだしていたはずです。効率ばかりを追い求めた経済が推し進められれば、あっという間にこの構造を奪ってしまうでしょう。
 多様性を生かし、地域に根差した農業の大切さに国境はない。またそれを支えていくエネルギッシュな若者は農村に欠かせない存在であること。日本にとって大きな傷となった原発事故を教訓に、共通した思いを海外代表は持って帰った会議となりました。
 ほかにもお米の評価を下げるカメムシ。カメムシに稲穂を吸われると黒い痣ができます。この被害を避けるため農薬をまきますが、この迷惑なカメムシを駆除するためにまかれた農薬によって、そのほかの益虫も、益虫でも害虫でもない虫たちが死んでしまいます。結局、誰もいなくなった田んぼに、またカメムシがやってきて我が物顔で悪さをすることもあるのです。

※ビアカンペシーナ:1億人を超える農民からなる世界的農民組織。地域に根差した家族的持続的農業を育む取り組みと、ルールのない市場経済と闘う、世界で最も熱い農民組織。スペイン語で「農民の道」の意。
4.2012年9月6日
  (原発事故から1年6か月後)
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