食・農 with コロナ

新型コロナウイルスの感染拡大で農と食はどうなる
ー新型コロナウイルスの感染拡大とフードシステムにみられる
「まだら模様の混乱」ー


NPO地域に根ざした食・農の再生フォーラム理事長
滋賀県立大学名誉教授
小池 恒男

注1)志岐常正『災害と防災ーこれまでと今ー』本の泉社、2018年12月、17ページ
 2)5月20日時点での集計では、地方創生臨時交付金(第一次補正予算)の使途は地方自治
   体の休業要請に応じた事業者への協力関係が約6割を占めたということである(9府県
   を含む397自治体の申請)。
 3)ここで重要なのは、要請主体が国ではなく都道府県知事であるという点である。なぜ
   ならば、この外出の自粛や休業に対する補償金、助成金、給付金を誰が支給するかと
   いう財政にかかわることになるからである。国の言い分は、国は休業要請の主体では
   ないから休業補償を支払うわけにはまいりません、雇用補償もしません。既存の「地
   方創生臨時交付金」を利用した持続化給付金なり「雇用調整助成金」をご活用くださ
   い、というものである。これに対して東京都は、休業や営業時間短縮に応じた事業者
   に「感染拡大防止協力金」を給付する(50万円、2店舗以上有する事業者には100万
   円)。しかしながら、申請受付開始1カ月経過後の実態は申請件数9万7千件に対して
   給付決定は約5千件にとどまっている(5.2%)。
 4)多くは日本農業新聞、日本経済新聞、テレビ等々の報道記事・報道ニュース等に基づ
   いての確認である。
 5)分野別にみた特定技能在留外国人数は注表1に示すとおりである。フードシステムに
   かかわる人数は2376人で全体の60%を占めている(飲食料品製造業、農業、外食業、
   漁業)。この数値は同時に、どの産業分野で労働力不足が顕在化しているかを示して
   いて興味深い。

注表1 分野別にみた特定技能在留外国人数(2020年3月現在)
分類別\ 外国人数構成比
飲食料品製造業1 402人35.2%
農業68617.2
素形材産業43710.9
産業機械製造業42810.7
建設2676.7
外食業2466.2
電気・電子情報関連産業1844.6
その他3378.5
合 計3 987100.0
 資料:法務省出入国管理庁「国籍・地域特定産業分野別特定技能1号在留外国人数」2020年03月

注1)その他の分野は、造船舶用工業156人、介護56人、自動車整備34人、漁業42人、ビルクリーニング27人、宿泊19人


 6)日本農業新聞2020年04月16日
 7)日本農業新聞2020年5月18日「北海道JAきたみらい、業務・加工タマネギ 需要奪還
   めざす」
 8)日本経済新聞2020年4月24「日米移民政策 板挟みで迷走」
 9)この影響はついにわが国の2020年5月の牛肉輸入において顕在化した。財務省のまとめ
   によれば、わが国の5月の牛肉輸入量は全体で対前年前月比で2.7%の増加となってい
   る。家庭消費の伸びや節約志向で安価な輸入牛肉が攻勢を強めている中にあって、米国
   からの輸入は4.7%の減少となっている。これは、新型コロナ禍で大手パッカーの食肉
   加工場の稼働停止が相次ぎ、一時的に生産量が減少し、輸入量にも影響が出たものと
   報道されている(日本農業新聞2020年6月6日)。
 10)イオンリテール株式会社は設立2008年8月、所在地は千葉県千葉市、事業内容は総合
   小売業、店舗数は407店舗、従業員数は83 689人。東京23区全域での実施は2020年
   5月25日開始。マジカルムーブの配達スタッフがイオン貼付センターまで品物を取りに
   行き、顧客の自宅まで商品を配達する。サービスの価格は購買1件当たり税別500円。
   (日本経済新聞2020年6月5日)
 11)表2の対象外の施設の「食事提供施設」に対して、東京都から5時から20時までという
   営業時間の短縮の協力要請が出されたことが大きな意味をもつことになった。業者は実
   質的に「休業」に近い状況に追い込まれたわけであるが、この「休業」に対する補償金
   なり協力金が十分なものであるかないかの違いは、長期的には大きな意味をもつことに
   なる。補償が十分に手当てされるならば感染収束後の事業の回復の速度は速く、回復力
   もまた大きなものとなるであろう。
 12)CDC(アメリカの米疾病対策センター)が設けた新型コロナウイルス対策の対飲食店
   向けの安全基準はきわめてきびしいものであって、その基準は50項目に及んでいる
   (日本経済新聞2020年6月3日)。
 13)新型コロナウイルスの感染拡大(パンデミック)がもたらした最大の災厄はいうまでも
   なく750万人超える感染者、42万人を超える死者という災厄である。しかし同時に驚か
   されるのは、これにともなう工場や店舗の閉鎖によって生計手段を失う危機にさらされ
   ている人々が世界で約16億人に及んでいるという実態である(国際労働機関ILOの
   2020年4月末の報告書)。
 14)農業生産の局面で当面の対応策として直ちに総力をあげて取り組まなければならないの
   は、給付金であれ、調整金であれ、補助金であれ、農林水産省の「新型コレナウイルス
   感染症に対する支援策」をフル活用して、生産者に対する支援策を100%活かしきる取
   り組みである。自治体行政が飲食店を繰り返し訪問して熱心に支援策を説明して申請を
   後押しして受給を促進している取り組みに学ばなければならない。
 15)VITAL産業の中心は、再生エネルギー、食料、医療、福祉、教育、文化である
   (ここでVITALバイタルは「生命を保つために必要な」の意)。

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