食・農 with コロナ

新型コロナウイルスの感染拡大で農と食はどうなる
ー新型コロナウイルスの感染拡大とフードシステムにみられる
「まだら模様の混乱」ー


NPO地域に根ざした食・農の再生フォーラム理事長
滋賀県立大学名誉教授
小池 恒男

第4節 3つの要因のフードシステムへの影響

 フードシステム自体が複雑である上に、そのプロセスごとに生じている「まだら模様の混乱」は広汎にわたり、かつ複雑である。したがってその「まだら模様の混乱」を確認するためには、フードシステムのプロセスごと、細区分ごとに一つ一つ具体的にみていくほかはない。
 表3は、フードシステムの各プロセス並びに細区分を示している。以下では表3にしたがって、現実にフードシステムに生じている「まだら模様の混乱」について具体的にみていくことにする。4)

表3 フードシステムの各プロセスとその細区分
フードシステム\プロセス 細 区 分
供給 A生産   T1米、2野菜、3果実、4牛肉、5豚肉、6鶏肉、7観光農園、
8水産物
輸入   U1野菜、2果実、3牛肉、4豚肉、5鶏肉
加工・製造 B1加工・製造一般、2中食
流通 C運輸   T1トラック(陸路)、2列車(鉄路)、3船舶(海路)、
4飛行機(航路)
荷受(卸)U1荷受会社、2仲卸業者、3水産卸
貯蔵   V
小売   W1スーパーマーケット、2コンビニ、3百貨店、4その他の食品売場
需要 D 業務需要 T 1飲食店、2料理店、3居酒屋、4学校、5ホテル、6旅館、
7インバウンド需要
家計消費 U
輸出*1  V

注1)注意しておかなければならないのは、外出の自粛要請によって、休業要請の対象外施設
  (社会生活を維維持するうえで必要な施設)とされながら、生活必需物資販売施設、食事
   提供施設、宿泊施設の多くが実質的に休業せざるを得ない状況に追い込まれているという
   実態である。
 2)選果場、発送まではプロセスTの生産に含める。
 3)*1 自給率の算出式において、カロリーベース総合食料自給率=1人・1日当たり
   国産供給熱量/1人・1日当たり供給熱量、輸出は分子に含まれるとしている。
   したがってここでは輸出を消費に組み入れている。


1)供給への影響

 まずA-Tの生産についてであるが、全体として言えることは、一つは、外出の自粛、海外におけるロックダウン(都市封鎖)によって労働の移動が阻害されたことによる労働力確保が困難に陥ったという点があげられる。とくに大産地ではすでに労働者確保が最大の問題になっている。国内の労働市場のみならず、日本の農場で働くはずであった外国人技能実習生が来日できず、人手不足が深刻化している。このままではさまざまな作物の生産が減少し、価格高騰を招きかねない。新型コロナウイルスの影響で、農業と漁業の合計で3 300人の技能実習生や特定技能外国人の来日のめどが立っていない(農業2 400人、漁業900人。総数では約3万5千人)。5)
 二つには、食料の業務需要の激減による影響が大きいという点があげられる(詳しくはD-Tで確認)。これは生産者にとっては販売先の喪失という形で受け止められる。大きくは、業務、外需、高級という部門・分野のところでの販売の苦戦が目立っている。とくに高級食材の販売先の喪失、学校給食の休止にともなうは販売先の喪失は大きく、和牛、花き(これは食料ではないが)、生乳の生産に致命的な影響を及ぼしており、政府の持続化給付金の支給の対象になるケースも発生している。収穫期の4〜5月に入ってのタマネギの値崩れも顕著である。生産量で全国2位の佐賀県産もの(半数以上が飲食店向け)の価格は供給過剰で4割の下落で、約1万トンの出荷の先送りを余儀なくされた。生産量で全国3位の兵庫県は主産地の淡路島を抱えているが、価格は例年の半値まで下落している。
 三つ目の影響は外出の自粛にともなう観光農園への来園者激減の影響である(A-T-7)。とくにイチゴ狩り客が9割の減少、加えて、海外販売が半減、ホテル・百貨店への販売も半減しており、イチゴにとっては苦難の春となっている。
 A-Uの輸入に関しては4つの点での点検が必要である。一つは、各国による食料の輸入制限の影響である。すでに一部の国、ロシア(小麦輸出国第1位)、ウクライナ(同5位)、カザフスタン、ベトナム(米輸出国第3位)、カンボジア、タイ、セルビア、エジプト等の13カ国が穀物を中心に輸出規制の動きをみせている。米輸出国第1位のインドでは、都市封鎖による混乱で輸出業者が新規契約の締結を止めている。ただし、日本への農産物輸出大国はアメリカ、中国、ブラジルであるが、これらの国は現時点では輸出制限を発令していない。現状では、世界の穀物市場の供給量自体は安定しており、在庫は潤沢である。先進国の食料事情に問題が出る可能性は低い。むしろ輸出制限の影響を受けかねないのは、すでに飢餓が問題になっているアフリカなどの最貧国や紛争当事国である。WFP(世界食糧計画)は04月21日の新型コロナの影響によって、世界で2億6500万人が2020年末までに食料不足に直面する可能性があると警告している。新型コロナの影響によって、2019年の推計値の1億3500万人が倍増しかねないことを強調している。グローバリゼーションで、効率性や安価を優先して食料の供給網を世界規模で広げてきたことが、地球規模の感染の拡大によって今、問われている。
 特殊な事例ではあるが、新型コロナウイルスの発生源の調査を主張したオーストラリアに対して中国が食肉輸入の一部を停止する事態が発生している。オーストラリアの2019年度の牛肉輸出量は122万8968トンであるが、国別輸出量では中国が最多の30万0133トンで全体の24%を占めている。
 第二に、より本質的な問題として、食料輸出国における生産と供給の条件の悪化にともなう輸出力の低下という問題が指摘されている。それは各国に生じている労働力確保の困難化の問題である。移民に労働力を依存する欧米諸国では、感染拡大にともなうロックダウンをはじめとする外出(移動)や出入国制限による移動制限によってすでに食料生産の大幅な落ち込みが予想されはじめている。顕在化した事例として以下のような事例をあげておきたい。
●英国:東欧(ルーマニア等)からの季節労働に頼ってきた英国では夏の収穫に向けて80 000
 人の人手不足が指摘されており、労働力確保のためにすでにチャーター機の手配が進められ
 ている。東欧諸国においては国外への交通機関が
 空路、陸路ともに制限されているため、労働者が例年通り動ける見込みが立っていない。
●ドイツ:10万人の追加の労働者を必要とするドイツは、04月09日、国内でも新型コロナの
 感染者が多いデュッセルドルフ周辺で、旬を迎えた白アスパラガスなどの収穫のために、
 約150人のルーマニア人が現地入りした。しかし、今後入国する労働者は原則、2週間
 隔離をしてからでないと働くことができない。
●米国:トランプ大統領、20日夜ツイッターで「見えない敵からの攻撃と、素晴らしい米国民
 の雇用を保護する必要性を考慮し、米国への移住を一時停止する大統領令に署名する!」と
 表明。翌日の記者会見で「短期滞在の外国人は影響を受けない」「例外を設ける」とトーン
 ダウンした。
 米国農業は、急減する需要による農業被害と、移民農業労働者不足による影響が大きい。移民労働者は47%しか健康保険に加入していない。生乳とレモンの廃棄が目立っているが、前者は学校給食、後者は飲食店やバーなどの閉鎖が響いている。6)
 もう一つの問題は、諸外国におけるBの製造・加工、Cの流通の過程におけるトラブルの発生にともなう輸出の減少(わが国にとっての輸入の減少)という問題であるが、この点についてはBの加工・製造、Cの流通のプロセスでの確認に譲ることとする。
 第四の事情としてあげられるのは、輸入する日本側の事情による輸入の減少である。レモンの例がこれに当たるが、業務需要をはじめとする需要の減少によって「輸入を1カ月止めているが、それでも在庫がたっぷりある状態」という。1カートン(140個入り)5250円を中止に、5月で対前月比で12%、前年同月比で16%の値下がりとなっている。国内で流通するレモンは年間約6万トン。米国産、チリ産の輸入が9割を占めている。全量の半分程度が外食店など業務用で使われている。
 A-T-8の水産物については、C-U-3の取扱量の落ち込みを受けて(その背後にはもちろん飲食店の営業自粛の影響があるわけであるが)、休漁する地区、休漁する漁船の続出という形で、小規模沿岸家族漁業者に深刻な影響を及ぼした。
 最後に、供給の生産ATと輸入A2の双方にかかわる点として、また今後の日本農業にとって重要な課題として、具体例とともに以下の点を指摘しておきたい。それは、この際における、輸入農産物の国産への置き換えの取り組みについてである。
 具体例としてあげられるのは、新型コロナウイルス禍で中国産タマネギの輸入に停滞が発生した件である。当初、国内では加工体制が整わず十分対応ができなかった。中国産タマネギの年間輸入量は28万トンである(2019年)。うち7割が皮をむいた“むきタマネギ”で、主として加工や外食産業などの業務用に使われてきた(コロッケ製造、冷凍加工業者仕向け)。2020年2、3月、中国はコロナ禍で加工場、港湾で人の動きが制限され輸入が停滞した。中国からの輸入量は2月の前年同月比で36%の減で1万6159トン、3月も同じく34%の減の1万7306トンであった。国産に切り替える動きがあったにもかかわらず、皮むきなどの一次加工の体制が整わなかった点に加え、輸送の確保が困難等の理由で急な国産への切り替えができなかった。しかしここにきて政府が、新型コロナ禍に対応する経済対策で、輸入農産物から国産に切り替える際に必要な施設の整備や改修などにかかる費用の二分の一以内で支援する事業を立ち上げた。北海道JAきたみらいはこの支援策を受けて、業務・加工向けの販売強化に乗り出した。7)“農業の成長産業化”農政の重要な柱である輸出の挫折については以下のDVでふれるところであるが、それにも増して重要でかつ現実味のある“輸入農産物の国産への置き換え”の取り組みは、確かにささやかで数少ない取り組み事例ではあるが、看過することのできない貴重なチャレンジとして注目しておきたい。


2)加工・製造への影響

 つぎにBの加工・製造に関しての確認である。4月7日の緊急事態宣言とともにかかげられた「接触7割、8割削減」目標が提案され、付随して「出勤者7割削減」という指示が食料の加工・製造の会社にも及ぶことになれば、正常な業務の遂行が困難に陥ることは目にみえている。ましてやそこに感染者が出たというようなことになれば業務はストップという事態も不可避ということにならざるを得ない。幸い、わが国においてはそこまでの事態に至っている例はみていないが、しかし以下の事情を考慮しておく必要がある。会社の従業員が感染した場合の外部公表は微妙だという点である。“隠ぺい”という社会的批判も避けなければならないし、従業員のプライバシーにも配慮しなければならないし、風評被害も無視できない。
 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で(従業員の感染が拡大して)、米国では食肉加工場の閉鎖が相次いでいる。以下のような事例を列挙することができる。8)
●米国食肉再大手のタイソン・フーズは4月6日、アイオワ州コロンバスジャンクションの
 豚肉加工工場で従業員24人以上が新型コロナウイルスに感染したとして工場を閉鎖した。
●牛肉加工大手のオーロラパッキングカンパニーがイリノイ州オーロラの牛肉工場を閉鎖した。
●鶏肉加工大手パーディューファームのデラウエア州ミルフォード加工工場が従業員2人の
 感染で閉鎖した。
●米国豚肉加工最大手のスミスフィールド・フーズ(バージニア州スミスフィールド)が
 サウスダコタ州スーフォールズの加工場を無期限に閉鎖。約3700人の従業員を抱え、
 550の家族経営農家と契約して、国内の豚肉総生産量の4、5%を扱っている。
 サウスダコタ州保健当局
 は4月12日、州内で陽性と診断された730人のうち、293人が同社の加工工場に勤務
 している従業員であると発表。同社のサリバン代表は、「国内の農家に甚大な被害を
 もたらし、食肉供給が危機に陥る可能性がある」とする声明を発表した。
 米疾病対策センター(CDC)によれば、全米19州、115カ所の工場で約5000人の従業が感染、20人が死亡した。食肉加工場では、肘が触れあうほどの至近距離で作業しており、感染リスクが高いとされる。出荷先の喪失による生産者への影響も深刻になっている。危機的状況は畜産農家に限らない。全米規模で飲食店の営業停止や物流の混乱が広がり、農産物の需要が急激に落ち込んでいるからである。9)
●6月23日、ドイツ、ノルトライン=ウエストファーレン州のギュータースロー郡の精肉工場
(Toennies社、全従業員7000名)で1553名の感染が確認された。従業委員はブルガリアや
 ルーマニアなど東欧出身者が多い。感染の震源地は「食肉切り分け部門」であることが判明
 している。工場や従業員住居のある2郡に対してロックダウンが再導入された。
 同様のことがわが国において発生しないという保障はまったくないという点を肝に銘じておかなければならない。
 以上はいわゆるB-1の加工・製造一般についてであるが、この分野で見落とせないのはB-2の中食の存在である。中食・惣菜の市場規模は10兆3197億円(2020年)で、これは後出の表6の食品製造業(国内生産)の19兆7920億円の相当部分を占めるものといえる(出所も異なり、比較年次も異なるので単純比較はできない)。


3)流通への影響

 Cの流通に関してはどうか。物流業は「経済の大動脈」と言われるが、トラックなど自動車が全体の二分の一を占めるとされる。流通の4つの中区分にわたって、マンパワーの依存が強い業種が多く、とくに休業、雇い止め、解雇、倒産の影響を受けやすい分野といえる。まず、物流のカギを握るC-Tの運輸についてみると、ほとんど問題の発生をみていいないC-T-2の列車以外についてみるとそれぞれ以下のような問題の発生をみている。
 C-T-1のトラック便がもっとも深刻で、長期にわたる人手不足に追い打ちをかけての新型コロナウイルスの感染拡大がドライバー不足に拍車をかけた形である。農林水産業が4月にまとめた調査によれば、食品流通においては自動車輸送の割合が97%を占めているということであり、楽観は許されない。ただしその一方で、自動車部品など産業用資材を運ぶトラックは過剰で、4〜5月は赤字で、緊急事態宣言の解除後の6月も「荷物は戻ってきていない」という状況がつづいている。
 都内で外出自粛が呼びかけられた3月下旬、冷凍食品や、パスタなどの輸送量が通常の2.5倍になり、その後も高止まりが続いている。長期化で物流が機能しなくなるリスクが懸念されている。
 C-T-3の船舶輸送については、世界の貿易量の約9割が海運に依存しており、当然のことながら食料の輸送にも大きな位置を占めている(とくに穀物の輸送)。現在世界で運行中の商船は約6万5000隻、乗員は約120万人とされている。ここで現在起きているトラブルは、毎月必要となる10万人程度の交代が「過去2カ月間、完全にストップしている」という問題である。その主たる原因は、コロナの感染防止を理由に入港拒否、船員の上陸拒否である。労使協定によって船員の交代が義務づけられており、この協定を守ることが運航の条件になっている。当然のことながら船員の疲弊、燃え尽き感がつのっており、国際海事機関(IMO)は「この問題が改善されないと国際的な物流に影響が及ぶ」として、各国政府や船会社等に早急な体制整備を要請している。他の食料に関しても、生鮮食品や冷蔵品(肉類、酪農品)の輸送に利用される冷凍・冷蔵コンテナの不足が問題になっている。輸送資材・施設の不足が供給不足に及んでいるケースである。
 C-T-4の空輸に関しては、人の往来制限により国際便の9割が減便となっているが、飛行機の胴体の下半分が貨物室になっていて、ここを利用した航空貨物の輸送が壊滅状態になった関係で(貨物スペースの縮小)、鮮度が生命線の高級食品の供給が中断され、料金の上昇に拍車がかかっている。特殊な例としてあげられるのがカーネーションである。流通するカーネーションの6割がコロンビアやエクアドルなどの外国産であるが、新型コロナウイルスによる減便で入荷量が減っている。その上、本年は母の日を5月10日に限定せずに、「5月いっぱい母親への感謝の気持ちを伝えよう」との花き業界の訴えによって母の日が母の月に拡大されたこと、またネット販売が好調で前年の3倍に増えたこと等が重なって価格が高騰して、対前年同期比で2割高となっている。
 つぎにC-Uの荷受会社(卸)についてであるが、この分野は、作業場が密集する選果作業の現場での濃密接触の危険性が高く、感染者が出た場合の影響が大きいという問題点を抱えている。運輸と表裏一体の関係にあって(とくにC-Tのトラック輸送と一体の関係)、荷受会社もまた先にあげた運輸の問題を共有している。移動の制限で荷受会社のバイヤーが産地に入れなくなっている点は、両者には取り引きと物流の両面において不可欠の連携が求められるところであり、長期的にみれば看過できない大問題である。取引先の激減、価格低迷で収入を失って苦境に立たされているのは仲卸業者である。とくに、販売先を失った高級食材の在庫を抱えており、新たな販売先、通販等の販売方法の開拓を迫られている。
 荷受会社や仲卸売業者を抱え込んで成り立っているのが卸売市場である。6月11日の北京市最大の食品卸売市場「新発地」(生鮮卸売市場、敷地面積は100ヘクタール、出店業者は2000、取引額は17年連続全国トップ)で感染者数は79人、すわっ「第2波」かと当局を震撼させた。ただちに当市場を訪れた約20万人を対象とするPCR検査、自宅隔離の措置がとられ、13日には同市場を閉鎖、さらに市内の大規模な食品市場のすべてが閉鎖された。また韓国でも、ソウル市近郊の物流センターで集団感染が発生して、82人の感染者を確認している。
 ここでみておきたいのは米販売事業者(年間仕入れ数量5万トン以上の事業者)卸販売の動向についてである。表4は、米の卸売販売が新型コロナウイルスの感染拡大にともなって大きく変化していることを示している。家庭用が1月から3月にかけて、101%、110%、124%へと増加しているのに対して、業務用は逆に98%、91%、80%へと減少している。表示はしていないが、家庭用と業務用の合計数量では、同期に100%、105%、108%となっており、家庭用の増加が業務用の減少を十分にカバーしていることを示している。一方価格は、コロナショックにもかかわらずこの間における需給関係を反映して(3月末民間在庫量は前年を7万トン上回っている)、異常な上昇傾向は示されていない。

表4 米の卸業者の2020年の1月から3月にかけての販売動向
価格数\量月別 対前年同月比
小売事業者向け販売
(家庭用)
中食・外食事業者向け販売
(業務用)
数量 1月 101% 98%
2月 110% 91%
3月 124% 80%
価格 1月 102.2% 99.9%
2月 101.8% 99.6%
3月 101.5% 99.7%
資料:農林水産省『米に関するマンスリーレポート』2020年05月号

 C-U-3の水産卸のところにも大きな影響が出ています。全国の魚介類を扱う東京・豊洲市場の水産卸7社の4月の取扱高は前年同月比でみて数量で16%、金額で32%の減少となっています。同じく札幌卸売市場の水産物取扱高は3月の前年同月比で数量18%減、金額29%減、同様に4月のそれはそれぞれ19%、31%の減少となっている。
 C-Wの小売の分野については、表3のスーパーマーケット、コンビニ等のほかそれらとつながる大型物流センター等を含めて検討する必要があるが、いずれにしても大きくは、つぎにみるDの需要における外食の減少、家庭消費の拡大という大きな変化に照応した小売の分野における変化という流れである。周知のように、その流れが人々のスーパーマーケットへの殺到となって、そこでの濃密接触対策の強化、さらには入場制限へと展開した。
 同じ小売業態にあって対照的な動きをみせたのがコンビニである。4月20日〜26日に1週間の販売額がスーパーで前年同期比11.7%増であったのに対して、コンビニのそれは14.0%減であった。この原因として考えられるのは、コンビニの立地が無人化したオフィス街、観光地により多くあることの影響、スーパーのまとめ買いのしやすさ、安さという点での比較劣位の影響が指摘されており、無敵のコンビニのもろさが雇用環境の悪化、消費者の生活防衛の意識の高まりの中で露呈したといえる。
 小売に関して全体として言えることは、接客がこの業務の基本的な部分であり、そこに濃密接触という感染のリスクを抱えていることがウイークポイントとしてあるという点である。
 新しい動きとして注目しておかなければならないのは、外出自粛による“巣ごもり消費”を追い風にしたEC(電子商取引、消費者サイドからはネットショッピング)の拡大である。大きくは宅配と店頭受け取りに分かれるが、ウオルマート(全米に約5000店)はこれにより3月中旬以降に新規顧客を4倍に拡大するとともに、23万5000人の雇用を獲得した。4月中旬から着手した注文から2時間以内に届ける“速配サービス”の投入は脅威である(生鮮食品から日用品、おもちゃ、家電まで16万点が対象)。
 また、イオンリテールのイオンネットスパーでの生鮮品配達地域の東京23区全域への拡大の動きにも注目しておかなければならない。10)これまでも生鮮品の配達を都内の一部で実施していたが、これをソフトバンクグループの配送会社マジカルムーブ(東京港区)の宅配サービスを活用して東京23区全域に拡大するという展開である。

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