伝統食品を見直す

 だからもう一回伝統食品を見直す。お漬け物は発酵食品なのですけど、今、それを過去形でいわなければならないぐらい発酵したお漬け物が少なくなって、結局だしに漬けているだけの漬け物なのですね。パックにしたら破裂するから、むしろ発酵を抑えて出荷する。漬け物とはいえないような単なる漬け野菜という感じのそういう漬け物が多くなってきた。
 昔は沢庵を漬けて、どぼ漬けを漬けて、菜っ葉の漬け物を漬けて、それが体の中に入って、私たちの腸はそういうものにさらされて、善玉の微生物に守られてきたわけです。そういうものがちょっとおかしくなってきてしまっているということが言えるかと思います。
 今糖尿病が増えて来ているのですね。これは日本人の遺伝子的な特徴もあって、欧米の人以上に糖尿病にかかりやすい。肥満していないのにストレスで糖尿病にかかってしまうというケースが非常に多いですし、それは、今の食が引き金を引いているとい

うところがあるわけです。だから、健康を守るためにももう一回伝統食を見直さなければならないというところが出てきているということが言えるかと思います。
食はもともと狭い流通圏が基本

 もともと食というのは生ものをいただくわけですから、流通圏というのはものすごく狭く、昔の採集時代ですと4キロ四方ぐらい、歩いて採りにいけるぐらいの食べ物でまかなうのが原則であるわけですね。やはり、その土地の生命をいただいて生きてきたのだということをもう一回見直してみる。アジアはアジアで生産されたもの、日本は日本で生産されたものが基本食で、そこで自給していくということが必要ではないかと思います。
 滋賀県の場合でも、例えばお豆腐なんかも村に一軒昔はありました。朝生産してその日のうちに売ってしまうものは大体1キロ圏内ぐらいに店がありました。麹、醤油、味噌というものだと小学区に一つとか、二つとか、そういう文化圏で流通していましたし、もう少し大きな単位で、例えば滋賀の湖魚なんかですと大体10キロ圏内です。魚上げ場(うわげば)から10キロ圏内は大体みな行商に歩かれたのですね。そういう形で大体10キロ圏内ぐらいで湖魚なんかが出回っていくということになります。(つづく)

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