アジア・モンスーン地帯の食と生活文化

 日本は食べ物も野菜も豊かだといいますが、タイの村々の市場なんかへ行きますと負けますね。日本は「昔は豊かだった」と過去形で言わなければいけないぐらい、品揃えとか多様性からいったら負けます。たしかに日本よりは経済的には貧しいかもしれません。でも価格は安いし、村々のマーケットには人のうごめき、活気を感じます。それは日本が失ったもので、何とか取り戻したいなあという気がすごくします。
 水が大きな資源であるアジアの個性は、水管理のために村落の相互の助け合いシステムを発達させてきました。そして小麦なんかに比べて生産性が高い稲作は、狭い土地で高い収穫量を上げられますので集約農法を発達させ、人口密度を高くさせることになります。
 また、夏場は非常に暑いアジア・モンスーン気候は、貯蔵・

保存の技術を発達させます。それも単に乾燥するとか、塩漬け、砂糖漬けにするだけじゃなく、発酵法とか加工法を高度に発達させてきた。それがそのまま富の蓄積や文明を発達させてきたのです。
 さらに、これはアジアの人々だけでなく、ベーリング海峡を渡って、アメリカへ渡っていったモンゴロイドも含めて、「絶対にとり尽くさない」「その一部をいただいて生きていく」という、自然との折り合いをつける原則を守ってきていたわけですね。今サスティナブルなんて新しいもののように言うてますけど、それは昔のアジアの人々がやってきたことなのです。つまり再生産可能な生産システムを持っていたということです。
 そして、アジアの特徴の基盤は少量多品目生産方式です。小さなところで自給型・複合型の生産をやっていた。それは一年を通して、畑を多品目に回転して利用する。結局、小さい地域ごとに小さな文化圏をつくり、住んでいるところで収穫できるものが基本食材を構成していたわけです。もちろんお砂糖とか、塩とか、その土地で絶対とれないものは買わないといかんわけですけれども、基本食料はそこでとれるものが原則だということが明らかな特徴ではないかなと思います。(つづく)
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