近江の食文化

 国籍不明の食事というのは魅力がないし、やっぱりそこの地域の特徴、カラーがなかったら、その食材は長続きはたぶんしないだろうと思います。でも、自分の食卓を眺めたときに、日本ほど国籍不明の食事をしているところはないと思います。
 いろんなものがあるんですけど個性がなくなっている。「自分の地域の伝統食なんて知らへんわ」という子が多いんですね。それでは国際人にはなれへんのではないかなと思いますね。だからもっと自分自身の基盤を大事にする。「自分はここで生まれて、こんな料理があって、こんな美味しさ知っているんだ」ということが基盤になるんだということ。
 滋賀県の目玉といったら何と言っても、なれずし、ふなずしなんですね。他のあゆでも、もろこでも、ふなでも、はすでも、何でも漬けてしまう。それが滋賀県の特徴になってきます。
 それで米どころであって米文化、米は単にご飯として食べるだけじゃなくて、餅としても食べますし、粉にして団子を食べてきたんです。ところが今、団子文化というのが低調になってきています。小麦文化やパン文化に侵食されて来ていますけれども、もう一回米の粉文化を見直そう、パンを米で作ってしまおうと、八日

市で小麦のグルテンの力を借りて米パンを今作っていますけれでも、米だけで本当に米粉100%のパンを作ろうというのをやっています。元々の団子文化をもう一回見直してもいいわけですね。
 たとえ経済的に日本が破産状態になって、食料輸入どころじゃなくなっても、自国で自給できる米を基盤にして生きていけば、心配ないのではないかというふうに思ったりもします。
 滋賀県の場合、もともと古くから納豆もあります。大根、蕪文化もある。地元を見直したら面白い文化があるんですね。
 アジアというのは、自分たちのふるさと、日本の文化の基盤であるということ。だから日本の食文化をつきつめていこうと思うとアジアの食文化を理解しないといけない。将来の食の豊かさとを考えていったときに、やっぱりそこを基盤にしていかないといけないんじゃないかなと思いますね。
 滋賀県が食文化調査をやって「滋賀の食文化財」ができたんですね。湖魚のなれずし、湖魚の佃煮、日野菜漬け、丁稚羊羹、あめのいおご飯が選ばれています。こういうものは各県ごとにやって広がってほしいなあと思っています。滋賀県の場合ですと、「滋賀の食事文化研究会」では、これを目玉に中学生でも作れるようになろうとか、男性や、女性の料理教室なんかでも教えたりしているんですね。若い人たちにも教えていこう。そのために「つくってみよう滋賀の味」という本を出版しまして、これだけじゃなくて近江文庫シリーズで、「ふなずし」、「豆」、「漬け物」、「飯・餅・団子」。「湖魚」が六月ぐらいにできる。あと「芋」もやりたいなあと思っていますけど、地域ごとに整理して「こんな文化なんだ」と再認識する活動も欠かせないんじゃないかなと思っています。(つづく)
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