アジア・モンスーン地帯の食文化

 水の幸ということは、米と魚の文化圏であって、野の幸も非常に豊かである。もともと里芋系というのはアジアで生まれたんです。タロイモとか、山芋(ヤムイモ)とか。日本でも八丈島なんか里芋文化圏です。日本ではお正月にはお米だけじゃなくて里芋、ごぼうなんかも供えますけど、ああいうものは米以前の食べ物として非常に大事にされてきているわけです。
 米は2千、3千年前ぐらいに大陸から日本に来ているわけですね。日本もアジア・モンスーン地帯の一員ですので、ワーッと広がっていくわけですが、米だけで生きてきたわけではない。芋、野菜、豆も支えてくれて生きてきたわけですね。そして、発酵にも適した風土であって、なれずし、魚醤、納豆、豆腐、味噌、醤油、麹とか酵母、乳酸菌が働いててくれる発酵食品が非常にたくさんあるんだということです。
 中尾佐助さんの文化の地図をみると、漆・竹の文化、梅・桃・盆栽の文化とか、お箸の文化など全部共通しているんです。豆腐、蒟蒻、箸とか、決して日本だけのものではなくて、アジアの文化なんだ。まさに日本はアジアなんだということを中国へ行っても感じさせられます。
 タイは香辛料の文化などインドの文化も入ってきています。でもやっぱり米と魚の国だなあと共通点を感じるんですね。特にタイの場合は、私は東北部と北部を中心に回ったのですが、プララーとかの米と魚の発酵食品があるんです。プララーは魚醤に近

いんですけど、米は炒って粉にしてちょっと振りかけるぐらいの発酵食品がいたるところにあって、それが村々の市場の中で、バケツで売っているんですね。それをみんなが500グラム、1キログラムと買って、調味料に使ったとか、漬けた魚を焼いて食べたりとか、フライにして食べたりとか、タイは特に魚の発酵食品が非常にたくさんあります。
 タイのように暖かいところだからこそ発酵食品は必要なんですね。腐りやすいからこそ、乳酸菌発酵させて保存します。魚にご飯をパラパラと振るぐらいで、3日漬けるともう酸っぱくなっているんです。タイは生の魚はあんまり食べないんです。焼いてとか、煮付けて、揚げて、塩味と酢っぱ味が利いてて美味しいですね。こういう魚醤とかなれずし文化というのはアジアの文化だなあと思わされる。そういう文化が残っているということです。
 アジアというのは、自分たちのふるさと、日本の文化の基盤であるということ。だから日本の食文化をつきつめていこうと思うとアジアの食文化を理解しないといけない。将来の食の豊かさとを考えていったときに、やっぱりそこを基盤にしていかないといけないんじゃないかなと思いますね。
 遠いところから運んだ食材に本当に豊かさがあるかといえば、むしろそれは均一な味を食べさせられるだけで、味気ない食生活なんです。自分の地域で生産できるものが基本。そこでその地域なりの手法でつくっていく。日本の伝統食品の手間のかけ方というのは、一流だと思いますね。日本は器用だなと思うのは、すしでももともとなれずしだった。それをにぎり寿司にまで進化していく。
 アジアの特徴をもう一回見直して、自分の地域の特徴がどこにあるのか。地域の食材、地域の手法にこだわるということをやっていかないといけないんじゃないかなと思います。。
(つづく)
連載滋賀の食文化 >> つくってみよう滋賀の味 >> オンリーワン農産物図鑑 >> 直売所・ファーマーズマーケット巡り