滋賀の食、アジアの食を紹介しながら、今の食の問題を考えていきたいと思います。特に「アジア・モンスーン食文化圏から見た」という問題提起です。どうしてアジア・モンスーン食文化が出てくるかというと、私たちの足元の文化が何なのかということをまず理解することが大事だと思っているからです。
 今、地域の食文化がズタズタにされ食卓から消えつつあります。地域の文化が否定されるということは、自分自身の生まれてきた起源さえも否定することなのです。そういう意味で、滋賀県で生まれた、日本で生まれた、アジアで生まれた人の文化を見直し、その大事さを再認識する。それが第一歩ではないかと思っております。
 21世紀は「環境の世紀」、「平和の世紀」と言われながら、戦争が起こり、食の安全面ではいろんな問題が噴出してきました。食の安全の問題がどうして起こってきたのかと考えてみると、やっぱり起こるべくして起こっていると感じるのですね。そのへんのところを、今の時点で見直していったらどうかと思っております。

アジア・モンスーン地帯の食文化
 「アジア・モンスーン地帯の食文化」は我々自身の基盤の文化です。アジア・モンスーン地帯の個性は「水の文化」です。どんなところでも水がなければ生きていけませんが、特にアジア・モンスーン地帯は非常に水に恵まれて水の文化が発達してきた。それはとりもなおさず、米で生きている人々が多くいる「米の文化圏」ということです。米は穀物の中でもとりわけ水を要求します。雨がよく降るからこそ、水が豊かだからこそ、アジアの米文化が生まれてきたということですね。
 それから米があるところ、水があるところには魚がいます。アジアの特徴は、「海産魚プラス淡水魚の文化」なんですね。中国の内陸部とか、タイなんかも淡水魚と米の組み合わせです。滋賀県もまさに米と淡水魚の組み合わせの食文化が成り立っています。そういうところに大きな個性があると思います。
 また、アジア・モンスーン地帯は、木が豊かに生い茂っている「木の文化圏」です。茸類も非常に豊かですし、その中で微生物の発酵食品が非常に豊かです。もちろんチーズとか魚の発酵食品とかヨーロッパにもありますが、文化の厚さからいうと、発酵食品の豊かさというのはアジアをおいてない。同時にそれは野菜と芋と豆も豊富であるということです。それがアジア・モンスーン地帯の個性になります。(つづく)
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